淡路島前編


  いつかみたラムネの瓶のような色をした、波打ち際の海。
その遙か向こうの水平線の彼方には地球の丸さで見えないが。
九州があるはずだ。

 淡路島。晴れ時々曇り。


 今日は仕事が早く終わり、チャリでポタることにした。

 自転車でゆっくり散歩するという意味だ。


 駅伝の第4区はアップダウンがあり、最後には浜辺へと向かう。
 それを走ってみようと思った、普通のチャリではしるならば、
往復で20キロなのでたいしたことないが、
今回は折り畳みの小径車で走ることにした。


 折り畳みにも色々あるが、キャンプ用の物で、
今回現場間の移動に使おうと持ってきた物だ。
 速度はママチャリに負け、重さは15キロもある。
 それは、ジャイアントのMR4が2002モデルを選んだせいで、
入荷がおくれたのだ。

 いきなり現れた急勾配を上りきると、心臓がはじけそうで、くらくらした。

 そして一気に下る、前傾姿勢でコンパクトにするが
いっこうにスピードがのらない。まるで、ベアリングがないようだ。

 そして再び上り、俺の体質がそうなのか、みんなそうなのかはわからないが、
もう大丈夫だ、息も切れないし、足も痛くはない。



 しかし、平坦地でも加速できないギヤには参った。
 こいでも、こいでも空回りするだけなのだ。
 ある一定以上の速度は出せない。

 もう一つの山を上ったとたん、一面に海が広がる、そして、潮風が駆け抜けていく。
 
 
今まで車では感じられなかった。空気の香りや、潮騒が鼻や耳を通り抜けていく。
 
 軽い下りを、歩く早さで走るチャリは、俺の中の何かに対する焦りを押さえてくれた。

 道ばたで休憩していると、駅伝の女子選手が下見をかねてジョギングで通り過ぎた。
 彼女は、一度だけ海を見て、目を細めると真っ直ぐに走っていった。

 おそらく、競技中は見ることはないだろう。


 折り返し地点の「慶の松原」が見えてくる。

 対向するロードレーサーのグループが、手を振った。
 
    俺は大きく手をあげた。







つづく

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