木の国









光が降りて。




  













昔、昔。






人が生まれるはるか昔。









天地創造の神様により

大地は固められ創られた。


















  




そして、時は流れ

神様が

ご自身の国に木がなかった事を残念に思われ

木を植えられた。






  





いつしか、


木を植えてくださった神様の住む土地を。


「木の国」と呼んだ.








  










森にすれば、

人が生まれたのは、



ほんの一瞬前、の出来事。












でも、


人は森を荒野に変えはじめた。





未曾有の洪水で、神は人に警鐘をならしてくださったのに。































何度出向いても、本当にその人が「行く時」でなければ

たどり着けない山がある。





特に厳冬期には、あきらめる人も多いという。






















山に向かう道で、最後に出会った人。





























「道の駅で売ってるんですわ。」



   

「ゆずの木の杖。」











「お山に登られるの?結構、厳しいですよ。」




「それと、標識ややこしいから気をつけてな。」






「もちろん、タイヤチェーンもってはりますよね?」



「本当にお気をつけて。」





















標高があがり雪が積もる。
















雪は深く。





ガードレールのないカーブが続く。


落ちたら崖。







深い深い谷。





















車止め。


結界。








ここからは歩いて。



 


靴から冷たさが上がる。











眠ったような森へ。



風が耳をふさぐ。



 


眠っていない。


滝の音?



風。









風の通り道。





崖の下から、細い参道に、風が吹き上がる。



風に森が唸り滝の音のように聞こえる。




























たどり着けた。








    



凍る空気。











でも、着いたとたん

風が吹き、雲を晴らして。


















日が射した。










光に、救われた。























光の中、境内を歩きさらに山の上へ。



  






  















清めの水。
冷たくて。














息を切らせ登ってゆく。




大昔、海から隆起した山奥。


木に命が宿り、



   




空気や土地、
全てを治癒してゆく。

   


根を張り
大きく伸びてゆく。


  

木々の声。

風にざわめく声。

依り代。




  



森の香り。







海底火山の溶岩。

時の証拠。

  




生き続ける。








人が創られる前からの力。








木は語る。

人に残してもらうのではなく、


光に、大地に残されているのだと。







光が燈った木々。









地球の始まりを、思い出すように、

冬を耐える。






 



木には人がいなくなっても、再生する力がある。




























今日の光が終わりを迎えても。


   












永遠に続く光に「木の国」が光る。






海洋生物、巨大爬虫類。

繁栄、滅亡を繰り返した過去。








残さなくてはいけないものを思うとき、

残されてゆくものだけが残ると気がつく。










人も、残されてゆくと、信じたい。




時を越えて。














キノクニ:2005KABUN





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紀の国:木の国