雨あがり






風のうわさ。






島がもう変わっているよ。






煙突の島。

アートになってしまった島の姿など見たくはなかったけれど。








いてもたってもいられなかった。。。。。。





待ち合わせ。














出迎えの少女はもう来ている。












一年もたたない間に。













島は変わってしまったよ。






















花が咲き乱れる季節。










花を植える












おじいとおばあが育てた花。











「いっぱい人がくるかもしれないから」


  



優しい気持ち。

































となりのおばあが

「ハムあまってないかい?」とやってきた

もっていけばいいよ





  



いただきます。





もうこれだけでいいって。

いやいやまだまだあるよ。






  



煙突を見に行こうか。














ただいま主


  

ただいま、守猫。




















目の前に現実があった。









美術館?






ビックリしただろうね。








一度も火を入れたことがないまま、
廃業し昭和の現代まで生きてきて、


アートになってしまったのだから。









でもね。






これからいっぱいの人が

昔のように、君達に会いに来るんだ。














今日からは、これ以上はもう入れないんだよ。


週末の有料観覧として、

会いにこられるかも、もうわからない。







サヨウナラ










サヨウナラ煙突の島。




そして、少女にさようなら





  






小さな足跡。














今までの島の歴史。






廃校の春に





一番の春に。










なぜ呼んだの?
























おじいおばあと共存する煙突は

気がつけば、年単位で壊れていくという。



「子供の頃は、もっとちゃんとした煙突だった」


落雷、そして風化、半世紀の間自然にうちくだかれてきた。




保存とアートで、残るものがあるなら。

それはこの島の新しい運命なのだろう。












最後のチャイムがなって。




  



















島の一日が今日もあたりまえに終る。















繰り返す季節。





振り向いても








精錬所。




若い現代遺跡は。





現状を残したままの
アート開発になるという。





誰かが希望し、誰かが納得して。

そして、残るなら、これほど喜ばしいことはない、







届いた写真。


.







「公園になってしまった若い現代遺跡」


であった頃から、比べれば確かに
「公園」のように変わってしまった。



でも、はじめに見せてもらった計画の奇抜なデザインとは違い、、、

「現状を保存する開発」を進めるように

みんなの思いを受けて、方向転換されたのだ。


この島の石、精錬所の煉瓦を使い再生されている。





守猫が生まれた頃、

数年前を思い出す。
















  



最後の最後に見せてくれた姿を

何時までも思い出してと言っていた気がした。



「写真は、時間を止められる。」




何度も島に呼ばれた意味が、やっとわかった気がした。

すべてのおじいとおばあの、顔を思い出せるくらい、

一軒一軒の家を思い出せるくらい、

小さな島の記憶は、深いものとなった。








「この島にお客さんが来て、多くの人と会えるのかねえ」と

うれしそうに話してくれたおばあ達の顔を見に、また行くのだろう。



でも、ツアーでは島をめぐるほどの時間があるかどうかも

まだ、わからないとも聞く。





おじいと、おばあは今日も、みんなの為に花を育てている。


アート開発の本当の成功を願って、

すべてをゆだねる。





遺跡になれなかった、でも、時代とともに変わって行く煙突の島にさようなら。

曇のち晴れ、そして満開の煙突の島でさようなら。







prize island#5 エピローグ:kabun











はじめてこの島をおとづれるひとに、

観光地ではなく、美術館ではなく、

この島の孫達になってほしいと心から思う。




ご褒美の島伝説

昔、瀬戸内海に海賊がいたころ。とある腕利きの男が
犬。雉。猿。と呼ばれる村からそれぞれ腕利きの男をつれて船で海賊を退治に向かった。

なかでも犬は、その巧みな航海術で、海賊の隙をつき一気に一網打尽に懲らしめる。

そのときの、ご褒美にいただいたのがキビダンゴと


この島だといわれる。




前作prize island#4はこちら